最初はN大学理学部の敷地内にある液化窒素タンクの立入禁止です。
シンプルですね。オーソドックスなズバリ系に属します。赤地に白抜きで訴えたいことが即座に目に焼き付きます。それでいて丸ゴシック調の文字からは、まるで保母さんが子供を諭すような優しさが感じられるではありませんか(それは言い過ぎ)。 誰が入っては行けないのか限定されていないので、永久に誰も入ることを許されていない禁断の場所かと勘違いしそうですが、特に鍵がかけてあるというわけでもありません。液化窒素を使う人は難なく入れるどころか、実は誰でも24時間入り放題というセキュリティの低さを誇っております(だめじゃん)。「一歩間違えば大惨事を招きかねない場所がそんなことで良いのか?」という疑問もありますが、幸いなことに今のところ大きな事故は起きていません。しかしこの曖昧さはある意味、我々自身の責任感を育もうという意図があるのかもしれませんね。優しさからくる厳しさってやつ。優しい保母さんに免じて70点にしときましょう(何が?)。 |
2つ目にして出ました! かなり年期が入っています(出たのか入ったのかどっちだ)。ええと、これもN大学内ですが工学部7号館の実験施設の立入禁止です。 四角に対角線が引いてある赤いシンボルがついた珍しいワンポイント系ですね。全体的に錆ついていて判別が困難なシンボルや文字は悠久の時代を感じさせます。その姿はまるで並み居る敵をバッタバッタとなぎ倒してきた歴戦の老戦士、が盾として使っていた立入禁止の看板を見るかのようです(そんなの持ってません!)。それから、禁止されている対象を限定しつつも、まるで漢文を彷佛とさせるような文字並びの美しさを保持しているのは天晴れ! 白地に書かれた黒の文字はやはり丸ゴシック体で、控えめながらも赤いシンボルでしっかり要点は主張しています。まったく抜け目がないですね。昔の活躍ぶりが目に浮かぶようです。ただひとつ難点があるとすれば、文字並びの美しさが災いして、「立係入員禁以止外」と横書きで読まれちゃうかも〜ってとこですね(むりやりやな)。そんなわけで「良」でどうでしょう(だから何が?ていうか採点方法が統一されていないぞ!)。 |
さてお次は森先生のおられる工学部4号館前にある木が植わっている場所が立入禁止。 横書きタイプです。しかし、これはなんとも丁寧なものごしですね。理由を説明しつつへりくだって相手に断りを入れています。これはさりげな系になるでしょうか。看板の位置も足元のほうにあって、赤い色で派手に禁止するでもありません。何なんでしょうかこの落ち着きぶりは。まるで「今部屋散らかってるからちょっと待っててね」と言われたみたいなお預け感。それでいて、無理矢理詰め込むために縦長になった文字からは、背中がゾクッとするような冷たい鋭さも感じられます。一見それほど強く訴えているようには見えないのに、静かな語り口の中に確固たる信念が伺えますね。そして字体はやっぱり丸ゴシック体。ひょっとして角ゴシック体とか明朝体とかはないのでしょうか。 ちなみに「樹木養生中に付き立入を御遠慮下さい」というバージョンも確認されています。植えられているものによってちゃんと文字を代えているいるあたりが、なんとも律儀じゃないですか。う〜ん、その真面目さに80点だ! |
と思っていたらありました、明朝体の文字! N大理学部E館の地下にある立入禁止で、横書きタイプ。 さすがに鋭さが違いますね。これも赤地に白抜きでオーソドックスなズバリ系に分類されます。メリハリのある字体からは媚びる様子は微塵も伺えず、余白も含めた全体のバランスも毅然とした安定感がありますね。シンプルでありながらも自分の本分をわきまえていて、見る者を効果的に威圧していると言っていいでしょう。下手をすると教育ママ的な刺々しさも感じられるほどです。上の「消火栓ポンプ室」の間抜けな字面と並べてみると、まるでのび太のママとパパを見ているようではありませんか。その場合、その大きさはママとパパの物理的な大きさを表しているのではなくて、実質的な勢力の大きさを表していることは言うまでもありません。しかし、この二人では明らかに役不足、やはりのび太とドラえもんがいなければ話は面白くならないでしょう。ということで60点(どういう基準なんだ?)。 |
同じく理学部E館の地下にある立入禁止。 ちょっと見にくいですが、これはなんと角ゴシック体の文字で、縦書タイプ。隣にある「注水厳禁」が丸ゴシック体なだけあって、明朝体には劣るもののその鋭さが際立っています。これも赤地に白抜きのズバリ系ですね。なんかこういう赤地に白抜きタイプの立入禁止は結構あちこちで見られますが、遠目から見ると「スイス」か「スウェーデン」の国旗に見えなくもないですね(見えん見えん)。漢字が読めない人は間違って入ってしまわないんでしょうか。えっとね、例えば、大使館と間違ったりとか(ないない)。あるいは、スイスだけに南アルプスの天然水がここで採れるのかもと思う人がいるかもしれません(んなアホな)。というか本当はここが天然水の産地だという可能性もなきにしもあらずだよ。だから天然成分を保つために「注水厳禁」とわざわざ書いてあるのだ。そうだそうだ、きっとそうだ。などという勘違いをする人がさあ・・いませんね、はい。ちょっと余白が少なく、窮屈に見えるので平凡な65点ってとこですね。 |